みたもの感想文。

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20210609 小田さくらバースデーイベント『さくらのしらべ10』アンコール公演

 

 

 2021年6月9日、小田さくらバースデーイベント『さくらのしらべ10』アンコール公演を観て来ました。

 これがもうめちゃくちゃ面白かった!
 何が面白かったって、最初に観た2021年3月15日の小田さくらバースデーイベント『さくらのしらべ10』(以下、『前回』と表記します)と全然違ったこと!
 セットリストは同じなのに、もう本当に別物でした!
 (因みに、前回の感想はこちら

 イベントとしては、開演前の影ナレが譜久村さんと生田さんだったり(この日は小田さんのイベントの後に9期のイベントがありました)、交換したドリンクについていたドリンクホルダーが紫だったりと、ウフフ☆となるようなサプライズや仕掛けがあったのも、とても楽しかったです。

 

 

〇冒頭の感触

 今回はライブハウスだったこともあり、開演前からステージが見えている状態でした。会場が暗くなり、instが流れてしばらくした後、暗いままのステージに小田さんが下手から登場。
 1曲目の『Go Girl~恋のヴィクトリー~』で、ステージが明るくなった瞬間の小田さんがどえらく可愛かったのは前回同様なのですが、この時の印象が前回とかなり違っていたのが面白かったです。

 前回は意気込みというか勢いというか、小田さんから溢れて客席に押し寄せる気みたいなものがすごかった。それが今回は少し落ち着いていたというか、ちょっと引いて客席を見ている感じがしたんですね。
 ステージにはセットもないし、髪のアレンジも違っていて、そもそも会場が違う。
 感染症に係わる世間の状況や緊張感も変わっている。アンコール公演ということもあるし、少しラクというか、入れ込みすぎないで出来る感じなのかな、と、その時は思っていました。
 公演が進むにつれて、この印象の違いの理由は表現の仕方や見せ方の違いからくるものなのかと得心したのですが、この辺のことはまた後述します。

 それと、開始前から開始直後までの間に、ちょっと気になったことがありました。
 自分の中でオープニングのワクワク感が前回よりもなんだか抑え気味だったんですね。ちゃんと楽しみにしてきてるのになー、なんでかなー、と考えていて、既に一度見ているものだからかな、と最初は思っていました。勿論、それもあるんですけど、それだけではなくて。考える内に、会場が違うということが影響したのかな、と思い至りました。
 前回はホールで幕があった。今回はライブハウスなので幕がなかった。この幕の有無が結構大きかったのかもしれないと思うんですよ。

 前回、幕があった時というのは、幕の後ろは見えないわけで、その後ろに何があるのかわからない緊張感があったんじゃないかと。どんな風に始まるのか予想もつかない中で、幕が上がったら、小田さん板付き振り返りからの照明当たってドーン!☆キラキラキラキラー!☆と一気にドカンと衝撃が来たわけです。心の準備もなく、一瞬で巻き込まれてさらわれた感じでした。

 それが今回は幕がなく、ステージの状態が分かっている中で、小田さんの登場から見ることが出来た。心の準備が出来ていて、同じタイミングで滑り出すことが出来たというのが違いの理由だったのかなと思います。

 この『幕の有無』『板付きか登場か』みたいなのがね、『世界観』という意味では結構大事なことであるような気がしました。

 あとは音。
 音が前回よりもちゃんと聞こえました。もちろん、一度聞いてるから歌詞の感じがわかってるってのもあるのでしょうけど、前回よりも言葉がはっきり聞こえてきた。前回は聞こえ方が少しぼんやりしていて、歌詞がわからなかったりしたことがあったのですが、今回は言葉の一語一語一音一音が立っていたという感じでした。

 ここまでが冒頭での感触。
 これらはなんというか、私の中では『物理的な違い』というイメージなんですよ。
 単純にわかりやすい違いというか。そして、この『物理的な違い』があった上での『内容的な違い』が、今回のアンコール公演の面白さだったように思います。

 

 

〇『内容的な違い』の面白さ

 前回と今回で私が感じた決定的な違いが『繋がり』です。
 前回はセットリストの最初から最後までが繋がっていて、一つの物語として成立しているように私には感じられたのですが、今回はその繋がりを感じられなかった。かと言って、各曲が独立した物語になる短編集のようなものでもなく、ちょっと予想出来なかった感じのものが、前回と全く同じセットリストで、全く別物、別作品として構築して展開されている。
 なんというか、見せようとしているもの、解釈の仕方が違う。
 これって本当にすごいことだと思うんですよ。
 違う作品になっているということは表現手法を変えているということで、同じものを違うものとして見せられる小田さんのその表現力、表現技術に、それも小田さんがそうしようと思って、意図的に、目的をもって成している現状に頗る興奮しました。

 では、今回見せてくれたものはどんなものだったのか、なぜ違ったのか(なぜ『繋がり』を感じられなかったのか)。

 今回、見ていて思ったのが、瞬間瞬間に見えてくる画はあるのだけど、背景は見えてこないなー、ということ。
 それよりも、今、目の前でパフォーマンスしている小田さんの現わしているものが強い。小田さんが歌の世界の住人になっているというよりも、聞き手(客)と同じ世界にあって、こんな話があるのよ、こんなことがあったのよ、これどう思う?と世間話をしているのに近いような感じがしました。
 「話しながらイライラしてるなー」とか「話に熱が入ってきたなー」とか、話し手が話しているときの感情の変化を見ているようでした。小田さんが非日常に連れて行ってくれるというよりも、コンサートという非日常の日常の中にいる聞き手(客)のところまで来てくれる。この辺りのことが前述した冒頭の『印象の違い』や『ちょっと引いて客席を見ている感じ』、『同じタイミングで滑り出す』といったことにリンクしていたのかなという気もします。すごく不思議な感じでした。歌をこんな風に聴いて、観て、接したことはあまりないように思います。

 前回が公演の全編を通して一つの物語の世界を見せてくれた(と私は勝手に思っています)とすれば、今回はとにかく歌うということに重点を置いて注力していたのでしょうか。歌詞の世界をというよりも、歌詞そのものをそのまま見せてくれていたように思います。だから、そこに曲同士の世界の繋がりはなくて、前回のような公演全体が一つの世界となるようなストーリー性は感じられなかったのかもしれない。
 短編集でなかったのも同じ理由なのだと思います。
 今回の小田さんの手法が面白いのはどうしてなのか。
 前に今回の見せ方を『世間話』と表したんですけど、多分これの効果なのかなと思います。自分の見せたいものを受け手にきちんと向き合ってお喋りしてくれる感覚。一方的に自分の主張の正しさを押し付けてくるのではなくて、伝えようとしてくれる感じが、受け取りやすく、耳を傾けやすく、また、受け入れやすく、何より楽しかったんだなと思いました。

 そんな中、ただ一曲だけ例外がありまして。
 『夜風のMessage』だけは、かぐや姫を想起して「セーラームーンみたいだな」と思いました。月光を思わせる白い光と小田さんの仕草と表情から、強さの哀しみのようなものを感じました。ここだけがここまでの流れとは違っていて、逆に閑話休題のようになっていたのも面白かったです。

 

 

〇名古屋公演でカットされていた曲

 前回と今回の間にあった名古屋公演で、カットされた曲があったと耳にしました。そのカットされた曲というのが『出来る女』『恋はマグネット』『未来の扉』だったと聞いて、びっくりしたんですよ。話が全然変わっちゃうじゃん!と。この時の私ってのは『長編ストーリー版のさくらのしらべ10』のイメージが頭にあったわけです。だから、どんな話になっちゃったんだろう、と驚いたんですね。でも、今回の公演を観て、ますます驚いたというか、今回これだけ違う解釈で違う見せ方をしてきたってことは、名古屋公演も名古屋版の解釈と表現だったってこと!?と。観ることが出来ないだけに、どんなものだったのか、未だにとても気になっています。
 因みにカットした理由として、小田さんは「客席とステージが近すぎて、その距離でこの曲(『出来る女』)を披露する自信がなかった」というようなことを言っていました。この辺のニュアンスが私にはちょっとわかりにくくて。技術的なことなのか、歌詞が強めの感情だから近い距離からそれを投げかけることに抵抗があったのか。私が聞き逃しただけなのかもしれないけれど。「自信がなかった」というのはどういう意味だったのかなと、今もちょっと気になっています。
 あと、残りの2曲のカット理由も聞いてみたいなと思いました。私個人としては、『出来る女』と『恋のマグネット』はコーヒーでつながっている曲なので、関連性があるのかしら、とか勝手に思っていますが(笑)でも、名古屋公演が今回のように前回と全く違うアプローチで展開されたものだとしたら、もっと他に理由があるのかもしれないなとも思います。

 

〇MC

 今回も小田さんは公演に関するお話をたくさん聞かせてくれました。
 一曲目直後のMCで、「今回は9期イベントの前で、その前に来てくれている、普段は来ないような人も来てくれているんじゃないかと思う」「袖で9期の二人が見ているのは緊張する」という感じのことを言っていて、これも前回と印象が違った理由の一つか、と思いながら聞いていました。

 3ブロック目『香水』『記憶の迷路』『さよなら「友達にはなりたくないの」』の後のMCが面白かったです。曲の世界にすごく感情移入してしまうという話。『香水』でこの人生が自分だったら悲しいと思う、と主人公の気持ちになってしまうと話していました。また、小田さんは曲の世界を一度頭の中でMVのように映像にして再現するそうで、『さよなら「友達にはなりたくないの」』の場合は回想シーン以外はベッドで動かないと教えてくれました。そこからそういう気持ちで歌うと影響されて自分の気持ちも落ち込んでいってしまう。だから感情を込めて歌うのは好きじゃない、という感じの言い方をしていましたが、感情移入しすぎて振り回されてしまうのが嫌というか、コントロールできるようになりたいということなんだろうなと思います。
 そんな話の中で印象的だったのが、感情を込めると自分のために歌うようになってしまう。人に聞いてもらいたい、届けたいものだから、それではダメ。というようなことを言っていたこと。すごく頼もしい言葉です。これから小田さんが見せてくれるものがまた楽しみになりました。

 最後の一曲の前には、『さくらのしらべ11』で更にパワーアップしたものを届けられるように頑張る、というようなことを伝えてくれました。
 小田さんは今回のMCで『進化』という言葉をたくさん使っていたけれど、本当に、常に前に進んで、常に上を目指し、常にファンのことをも見てくれてるんだなと感じました。小田さんは本当にとても素敵だなと思います。

 

 

 今回の『さくらのしらべ10』アンコール公演は、私にとっては小田さんの表現力の幅の凄みを体感した公演でした。これを見せたいというイメージがあって、それを形にする表現手法を考えることが出来て、それをなすことが出来る技術がある。それも一つの演目で何パターンもの解釈を見せられる。すごく面白い。『さくらのしらべ11』も見られたらいいなぁ。心からそう思います。

 

 
 余談ですが、私は小田さんのお芝居もすごく好きでですね。『続・11人いる!』のフォースとか大好きなんです。これは映像で観たので、直接お芝居しているところはまだ見たことないんですけど。だから、直に見てみたいなーと思ってるんですね。で、どんなのが見たいかなー、と考えるじゃないですか。今、ダントツで観たいのが、『少女革命ウテナ』。これを舞台で、小田さんの姫宮アンシーが見たいんですよ! 因みに、天上ウテナは私の中ではアンジュルムの上國料さんです。もー、これ本当に観たい。見たくて見たくて他の配役も色々と勝手に考えながら脳内再現するレベルです。はー、小田さんが出てる演劇女子部も観られたらいいなぁ。

 


 小田さくらバースデーイベント『さくらのしらべ10』アンコール公演、とても楽しかったです!
 小田さん、可愛かったー!
 もう三か月くらいたったけど、もう一度!

 小田さん、お誕生日おめでとうございました!(笑)
 小田さんがいつも健やかで、いつも笑顔でありますように!☆

 そして、これからも小田さんが見せてくれるたくさんの素敵を楽しみにしています!♪