みたもの感想文。

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20210315 小田さくらバースデーイベント『さくらのしらべ10』(第一部)

 

 2021年3月15日、小田さくらバースデーイベント『さくらのしらべ10』の第一部を観て来ました。
以下、思ったことや感じたこと、考えたことです。


 照明が落ちて和風のinstが流れる。
instが終わり、『Go Girl~恋のヴィクトリー~』の前奏と共に幕が上がって板付き後姿で現れた小田さん。
すぐにくるりと反転して、小田さん全身で会場を隅々まで照らす。
光、光、光、光……。
浴びるほどの、溺れるほどの、翻弄されるほどの、圧倒的な光。
ものすごいキラキラでした。
目が離せないほどのキラキラ。
小田さんに目が釘付けになったまま動けなくなるくらいに、とにかく可愛い。
おわー!可愛い!なに!小田さん!可愛い!めっちゃ可愛い!めちゃくちゃ可愛い!なんなの小田さん!すっごい可愛い!可愛いー!!!
と思いながら双眼鏡で凝視。
衣装もとても上品で可愛くて、髪のおろし具合と前髪の残し方は個人的にとても好みだったので、内面で激しく取り乱しました。
もう、変な声が出そうになるのを堪えるのに必死。
あー、もー、本当に可愛かった。
そして、ステージには桜の木が二本。
満開の桜が小田さんの輝きを象徴する様で、心がウキウキ浮き立ちました。

 

 小田さんがブログでセットリストを公開してくれたのでMCの位置なんかを追記しつつ転載します。

OP(和風のinst)
Go Girl~恋のヴィクトリー~」
MC
「愛しく苦しいこの夜に」
「遠距離の恋愛」
「出来る女」
MC
「香水」
「記憶の迷路」
「さよなら「友達にはなりたくないの」」
MC
恋はマグネット
「夜風のMessage」
「未来の扉」
MC
「しっかりしてよ! もう」
ED(「Go Girl~恋のヴィクトリー~」inst)


 私はハロー!プロジェクトをちゃんと観始めたのがここ数年のことなので、ほぼ知らない曲でした(苦笑)
なので、各曲のイメージとか逸話とか付随する情報、予備知識なんかは全然無い状態で観て、聴いていました。
だから「おー、この歌を歌うのかー!」とか「ここでこの曲来ちゃうのー!」とか「これ聴けたー!」とかにはならないわけです。
小田さんが歌ってくれている曲がどんなものなのか、小田さんのパフォーマンスだけが頼りの状態(苦笑)
でも、それがものすごく面白かった。

 

 『さくらのしらべ10』には、大きく3つくらい(他にもたくさんの要素はあると思うけど)柱みたいなものがあったように思います。
『ファンサービス』、『作品(ストーリー)』、『挑戦』。
この3つが、公演の最初から最後まで同時に走りながら、絶妙なバランスで絡み合い、共鳴し合うことで、一つの物語が出来上がっている様に感じました。

 

〇「ファンサービス」という柱
 1曲目からファンに向けて幸せの気を会場の隅々にまではなっている様でした。
幕が上がる前から高揚していたファンの気持ちを、小田さんは出てきた瞬間に両手で掴んで非日常の世界へと天高く放り上げてくれた感じ。
箱の中が一瞬にして非日常に変わっていく。
あのドキドキっていうのは本当にどう表現したらいいのかしら。
高揚と疾走と飛翔と期待。
誰も置いて行かない。
観てくれるファンを幸せにすると思ってくれているみたいだった。

 ところがこの後、悲しい印象の曲が続いたりする。
にもかかわらず、流れを沈み込ませずに単調にしない、良い具合に揺さぶってくるバランスが絶妙でした。
曲を表現しつつ、適度なところで客席と一緒に、掛け合いではないけれど、煽りを入れてきたりして、見る側を離さなかったのは見事でした。
客席がちゃんとついて来られるように、意識は必ず客席に向かっていて、曲の中に入り込み過ぎないでいてくれているというか。
何も知らない私みたいな人間さえずっとついていけたので、そういう作りになっているのはとても嬉しかったです。

 ステージ上のパフォーマンスとしてすごく印象的だったのが、小田さんは会場の一人一人を本当に必ず見ているのかもしれない、と思ったこと。
錯覚させるとかではなく、本当に見ているのかな、と。
そう思わせられるほどの強い気持ちが、小田さんの目に映っていた様に思います。
そこに見えるのは『楽しんでくれてる?』という問いかけだったり、『ありがとう』という感謝だったり、『今の自分を見て欲しい』という願いだったり……。
そのたくさんの強い気持ちを繋いでいるのは「ファンへの『愛』だよなぁ」とか、そんなことを思ったりしていました。

 

〇「作品(ストーリー)」という柱
 個人的にはこの柱が一番面白かった。
MCで曲順は譜久村さんに相談したというようなことを言っていて、てことは曲順に小田さんが込めた意味があるってことだよなー、と。
『遠距離の恋愛』が『桃色片想い』のカップリングで、「『桃色片想い』と一緒にこの曲(『遠距離の恋愛』)入ってるの、ヤバくないか!?と思って!」とちょっと興奮気味に話していたのも、関連性とかを面白いと思う人なのかー、と思ったり。
そんな中で見ていくうちに、何か話がありそうな感じ?と思い始めたり、『出来る女』でもんのすごい衝撃を受けたり、そんな刺激と相俟って、「並んだ曲が公演を貫く何かがあるのかもしれない」と俄然興味が湧いてきました。

 そこで小田さんが公開してくれたセットリストを見つつ、曲をその通りに並べて聞きながら、歌詞を眺めてみました。
なにせ、私は楽曲は全然知らないし、音響もそんなに良くなかったせいか、歌詞も全部しっかり聞き取れたわけではなかったので。
その場で見えた景色や画面、感じた色やにおい、音、たくさんあったけど、断片的なものでしかなかったんです。
だから、何かあるのかもしれない、と感じるのがその場では精一杯だった。

 そんなこんなで、歌詞を見ていくうちに、ある一人の女の子のある時間(18歳から24歳くらいまで?)を切り取った一つのストーリーラインが浮かび上がってきたわけです。
その中で、女の子は一つの恋に縛られ続け、翻弄されながら、裏切られたり、傷ついたり(時には傷つけたり)して、それでもそこに愛を求め続けていました。
目の前に春の日差しが広がる様な喜びの時もあるけれど、すぐに冷たい雨が降り注ぐような悲しみや苦悩がやってくる。
そして、今度こそ、やっと出会えた、この人となら幸せになれると思った相手も、また失い、絶望してしまう。
そんな時、現れたのはずっと彼女を近くで見守っていた人物。
もう自分に光は訪れない、光の中では生きられないと思うほどに落ち込んでいた彼女は、見かねたその人物の愛情に励まされて、立ち直り、次の扉を開いていく。

 これが私に見えた物語。
もうこれは完全に私の脳内妄想で、捏造レベルのことです。
でも、そこまで妄想してしまうほどに、本当にとても良く組まれた構成なんじゃないかと思います。
更に面白いところは、この女の子の物語を表として、もうひとつのメッセージを感じられたこと。
女の子は『ファン』であり、登場する辛い恋や相手、出来事は『今の世情』だったり『日常の理不尽』だったりするわけです。
そして、最後に登場する女の子をずっと見守っていてその愛情で女の子を励ます人物。
これが小田さんであるように私には思えました。
そう考えると、ちょっと面白い作りが見えてくる。
これって女の子の視点で展開されているようで、実は最後に出てくる人物の視点で描かれているんじゃないだろうか。
つまり、小田さんの視点。
小田さんが見た世の中の景色。
それを受けて、小田さんが私たちに「大変なことが本当にたくさんあって、辛いことに負けそうになることもあるけど、ずっとここからこうして応援してるから、一緒に前に進んでいこう」そんな風に言ってくれているように感じました。

 曲の流れに沿ったストーリー展開も自分の中では出来てはいるんですが、これを書き出すとまた大変なことになるので割愛します(苦笑)

 最初、私は『さくらのしらべ10』で短編集みたいなものを見るんだと思っていたんです。
ひとつひとつの曲を一つの物語として全て違う登場人物として表現していくのかな、と思っていた。
でも、何曲か見ていくとそれぞれの曲に出てくる人物が決定的に違う、とは思えなかった。
違いはある。
でも、フラットな感じ。
それが最初はファンサの一環で、曲の世界に入り込み過ぎないようにしているからだと思っていたのだけど、勿論それもありつつ、それだけではないようにも感じる。
多分、曲の進行が一人の人の感情の変化を表しているように感じられたからなんだと思います。
だから違いはあっても別人な感じがしなかったんだと思いました。

 この辺はもう本当に私の個人的なトンチキ解釈なので、勝手なことを言ってごめんなさいという気持ちもあります。
でも、そんな風に想像力をフル稼働させるようなものを見せてくれるのは、本当に嬉しいし楽しくて仕方ありません。

 そうそう。
小田さんが歌った音源はないからオリジナル曲を聞くわけじゃないですか。
そうすると頭の中で自動的に小田さんの歌に変換されるんですよ。
一度しか聞いてないのに。

 なんかもう本当に小田さんはすごいな、と何度も思っています。

 

〇「挑戦」という柱
 前半に歌われた3曲、『香水』『記憶の迷路』『さよなら「友達にはなりたくないの」』は過去に披露したことのある歌で、歌い直したいと思っていた曲とのことでした。

 『香水』と『記憶の迷路』は過去の『さくらのしらべ』で歌ったことがあり、その過去の映像を見て、とても未熟だと感じたんだそうです。
当時は自分の歌のことばかり考えていたけど、今は(お客さんに)曲のことを知ってもらいたいと思う。
前は理解が足りていなかったところも、今ならわかることもあるし、解釈も変わってきた。
以前よりも出来ることが増えてるので、そういう変わったところを成長した『今の自分』の力で歌いたい。
MCではそんなニュアンスのことを言っていた様に思います。

 『さよなら「友達にはなりたくないの」』は14歳の時にハロコンで一度一人で歌ったことがあるそうです。
そのときに、スタッフさんから「歌えてる。でもそれ以上でもそれ以下でもない」と言われ、それが悔しくて忘れられなかった。
以来、怖くて歌うのを避けていた曲だったのだけど、今回きちんと向き合って苦手を克服しようと選曲した、と言う感じのことを言っていたと思います。

 つまり、この3曲に小田さんの過去・現在・未来が詰まってるわけです。
ほえー!(感嘆)ってなりましたよ。
過去の自分の負の面にしっかり向き合って、それを今の力で克服しつつ、今できることの確認をして、未来へのスタートを切ってる。
しかも(これはこの3曲だけに限らず全体を通してだけど)その未来に向けて、今持っているスキルを更に上のステージへと持っていくために、色々と表現の実験をしている。

 『出来る女』や『未来の扉』は一人で歌うのは難しい曲だそうで、『出来る女』では「冒険かも知れないと思った」、『未来の扉』では「一番練習した」と言っていました。
でも、初めて聞く私の耳には、違和感なく小田さん一人の歌が馴染んだので、その一人でやることが難しいものを一人で歌うものにするために、表現をたくさん探して、たくさん試して形にしていったんだろうなと思います。
「これまでは1年分の成長をと思って挑んでいたけど、今回は前回が延期になってしまったことから、スパンが短い」
「半年分で変わらなきゃいけないと思って挑んでいる」
「自分で確実に変わっているという点もあると思っているのでそこを精一杯届けたい」
MCでこんなことも話してくれていました。
はー、嬉しい。
こんなに模索や成長を、前に進む姿をファンに見て欲しいなんて、見せてくれるなんて、なんて幸せなの。
私は過去の『さくらのしらべ』を直接見たことはないけど、なんとなくここからまた『さくらのしらべ』が始まるのかなと思いました。

 

〇「想い」という柱
 全体を通して、すごく小田さんの想いが隅々にまで詰まった公演だったと思います。
歌への想い、ステージへの想い、楽曲への想い、表現に対する思い、グループへの想い、ハロプロへの想い、メンバーへの想い、ファンへの想い、自分自身への想い、世の中への想い……等々。
小田さんは愛情の深い人だなと私は思います。
それは見せてくれるものの愛情がとても深いから。

 

〇小田さんの表現
 小田さんはどこまで考えてやってるんだろう。
何を狙ってこの曲順なんだろう。
選ばれなかった曲はなんで選ばれなかったんだろう。
『さくらのしらべ10』を見てから、こんな感じの色んなことを考えてばかりいます

 『愛しく苦しいこの夜に』の「前髪で顔を隠した」にはあの髪型の前髪の残し方がぴったりとハマっていて、すごくドキドキしました。

 『出来る女』は私的には一番の衝撃でした。
小田さんがぐっと歌い方を変えて来て、がなるではないけれど声音をかなり変えていて、それがそのシーンにぴったりハマっていてすごく良かった。
こんなことも出来るのかー!と本当にすごくびっくりしたんですよね。
街並みが見えた。
石畳の歩道に街路樹、赤いドアのカフェ。擦れ違う人。
小田さんの服装まで違って見えました。
私の中ではベレーを被ってフランスパンの入った紙袋を抱えて歩いていたんですよ。
なんだか中島みゆきさんの『夜会』みたいでした。「Smile,Smile」とか「女という商売」とかを思い出します。
 あと、『出来る女』が面白かったのは、「熱いコーヒー飲んでみたけど カウンターに一人で 外から見たらどう見えるの? コーヒー熱すぎた」と言ってるのが、全体の世界感として後ですごく利いて来ること。
恋はマグネット』の「苦いコーヒー 飲めなくたって 子供じゃない 切ない味をわかってきたの」とか、『しっかりしてよ!もう』の「ほんとの君を出せばいいのに 人目気にせず本能赴くまま」とか。
コーヒーが熱すぎたんじゃなくて本当は苦くて飲めなかった。
強がって人目を気にしてばかりいたのに、本当の君(自分)を出そうと思えるようになっていたり。
一人の人間の変化が見えてくる。
この辺は本当にすごく面白いなと思いました。
本当に、どこまでが思惑なんだろう。

 そして、小田さんの所作がすごく好きです。
リズムに乗せるのが本当に上手ですよね。
移動が段取りの移動ではなくて、ダンスの振りの一部だったり、曲の世界の中での生きている移動だったというか。
溜めや緩急、時が止まったり動き出したり、空気の流れが見えたりするのも素敵でした。
そして形がとても美しいんです。
指先、手の形、顎のライン、腕の流れ、体の沈め方、肩の入れ方、スカートの裾の揺らし方、表情、目の色、その色の残し方、余韻。
全てが美しかった。
暖かかったり冷たかったり。
小田さんのステージって温度も感じられるんですよね。
マイクの持ち方というか、手の添え方も曲で変えていたように見えました。

 『夜風のMessage』で素敵だったのがラストの手を天に伸ばした時の間。
月の薄明かりに照らされた夜桜と広くて深い宵闇の広がりの中、真っ白な光に包まれた祈りの姿は哀しくて綺麗でした。
(因みに、この時、白い照明は当たっていません。全部私の脳内で見えたものです/苦笑)

 『しっかりしてよ!もう』も最後の「私のことが大切ならば」で取った間がすごかった。
これも私の中では祈りでした。
愛情の波が会場全てに行き渡っていくような感覚。
ちょっと泣きたくなるくらいでした。
小田さんを好きになる人は、みんなこれに溺れてしまうんだろうな。

 

 

 全ての曲を終えてのエンディングは、1曲目の『Go Girl~恋のヴィクトリー~』のinstに乗せて、ステージを端から端まで歩きながら客席の上も下も隅から隅まで目線をくれて、手を振ってくれました。
最初と最後が同じところに帰結しながら、その中でも少しの変化がある。
舞台(お芝居)でもよくあるこの形の演出が美しくて私は結構好きです。

 

 こんなに素敵なものが観られるなんて、本当になんて幸せなんだろうと思います。
こんなに凄いものが観られたことが、とても嬉しかったです。
小田さんがとても素敵で、可愛くて、美しくて、ずっとときめいていました。
なんというか、小田さんはすごく面白い。
これからも小田さんを見ていくのが楽しみです。
次回の『さくらのしらべ』も楽しみにしています。

 

 小田さん、幸せな気持ちをくれて、本当にありがとう!
 小田さんの見せてくれるものが大好きです。
 あー、楽しかったー!

 

 最後になりましたが、
 小田さくらさん、22歳のお誕生日、おめでとうございます。
 小田さんにいつもたくさんの笑顔がありますように☆