みたもの感想文。

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20220311 小田さくらバースデーイベント『さくらのしらべ11』

 

 2022年3月11日、相模女子大学グリーンホール大ホールで行われた『モーニング娘。'22 小田さくらバースデーイベント「さくらのしらべ11」』を観てきました。私にとっては2回目の『さくらのしらべ』です。まずはセットリストから。

 

~overture~
1.ALL FOR ONE & ONE FOR ALL(H.P.オールスターズ
~MC①~
2. お願い魅惑のターゲットメロン記念日
3. ONLY YOU(続・美勇伝
4. 地球が泣いている(モーニング娘。
~MC②~
5. さみしい日(モーニング娘。
6. さくら満開モーニング娘。さくら組
7. サヨナラのLOVE SONG後藤真希
~MC③~
8. BE HAPPY 恋のやじろべぇ(タンポポ
9.ドキドキベイビー(真野恵里菜
~MC④~
10.やる気!IT'S EASY (後藤真希
~ending~

 


 幕が上がった状態のステージ。下手奥には黒い布がまかれた台があり、その上には黒い布が被せられた水と控えめに桜が生けられた花瓶。開演前のアナウンスが客席に響き、客電が落ちると overture が流れ始めました。 overture は去年と同じ。このとき、私は初めて overture は毎回同じものを使っているようだとわかり、「なるほどなー、それはそうかー」と一人で納得していました。2回目であるが故の感動です。この overture 、最初からなのか、それとも途中からの固定なのかはわかりませんが、小田さんがMCで『長寿イベント』と言っていたように、長く続くものであれば、そういう決まりごとの様なものがあると形として美しくなるように思います。何より、始まりの合図である overture が聞こえてくるとドキドキする。 overture を聞きながら、私は去年の公演を思い出したり、これから目にする耳にするものへの期待を膨らませたりと、ワクワクしながらこれから始まる未知の時間を待ち構えていました。そんな中、まだ薄明りの暗いステージに下手袖から人影が歩いてきます。客席からは拍手が沸き、人影がステージ中央で止まったのと overture が終わったのはほぼ同時でした。入れ替わるように流れ出す前奏が拍手を鎮めると、ステージの中央に静かにスポットライトが降りてきます。そこにやわらかに浮かび上がる小田さんの姿!ありがたい!なぜかちょっと手を合わせたい気持ちになりました。だって、すごく可愛いんですよ。変わらずに可愛くいてくれて、素敵でいてくれて、なんていうか、姿を見ただけで自分の中から幸せが沸き出してくるのがわかるんですよ。そんな風にステージにいてくれてることに安心したというか。なんだか、ホッとしていました。そして、第一声。小田さんの歌声が届いた瞬間、沸き出した幸せはとめどなく溢れだした。

 


 今回の『さくらのしらべ11』(以下、『11』)は前回の『さくらのしらべ10』(以下、『10』)と全く違ったベクトルのものを観ることが出来て本当に面白かった。見ていて浮かんできた言葉は『物語性と今性』、『共存』、『挑戦』、『感謝』、『愛』、『平和』、『伝える』、『願い』の8つ。これらが相互に独立しながら、溶け合い、一つになる。その形が今回の『さくらのしらべ11』であったように思います。

 

 

〇『ベクトル』について

 『10』は非常に『物語性』の強い作品だったのに対して、今回の『11』は『今性』を前面に押し出したものであったように思います。もちろん、『10』もファンに向けられたものであったのに間違いはないのだけど、物語の世界を見せていくという感覚で、時間も空間も感情も、表現するもののベクトルが内に向いたものだった。でも、それが『11』では全く対極に位置するような感じだったんです。放出するように表現するもののベクトルが外に向かっていた。客席にいるファンと同じ場所、同じ時間、同じ空気を共有して、同じ世界に一緒に存在している。みんなと一緒にいる、共に在る、という実感を伴う事実を、『今』を、小田さんのパフォーマンスによって共有して、一緒にワイワイ楽しむ感じとでも言いましょうか。楽しいね!嬉しいね!最高だね!というような『今』の気持ちを交感したいというような印象を受けました。だからと言って、『10』の時に感じた創造性が薄くなったのかと言えば、そういうわけでもなく、これも違った形で見せてくれていました。

 小田さんの表現力のすごさって、想像力のギミックを使った見えないものを見せてくれる創造性(力)にあると思っていて、私はそれが本当にとても大好きなのですが、『10』では『物語性』によってそれを見せてくれていたんですね。でも、今回は今、ここに、一緒にいる事実をもってそれを見せてくれた。小田さんが見る世界にみんなを一緒に連れていってくれた。内に作り出した世界ではなくて、小田さんが見ている世界、景色を私たちにも一緒に見せてくれた。そういう感覚になりました。だから、最初は私、今回は『物語性』のない公演なんだと思っていたんですよ。みんなと『今』を共有することに完全シフトした公演だと。でも、終わってみたらそれは違ったと思いなおしました。

 先ほどから何度も使っている『一緒』という言葉にあるように、今回は客席が完全に『さくらのしらべ』の中に組み込まれていて、体験型の公演とも言えるものだったと思います。そこに小田さんのパフォーマンスの面白さが加わる。小田さんのパフォーマンスって『一対全て』であり『一対一』であると思うのです。目の前にいるたくさんの人たちを全てとして見ながらも、そこに個の存在があることに気を行き渡らせて向き合っている。だからこそ客席に座るファンは小田さんが『自分』と向き合ってくれていると感じることが出来る。小田さんが見せてくれる世界を、みんな一緒でありながらも、個として同じ時間を一緒に旅することが出来る。その上で、それぞれがそれぞれに得た想いを抱き、会場を後にすることで、客でありながら、さながらダブル主演の片方となり、それぞれの『さくらのしらべ』が完成する。「行って帰ってくる物語」として、『11』がしっかりと『物語性』を伴ったものだったことを、会場を後にするファンの人たちの姿を見て、何より自分自身を省みて知ったのでした。

 

 

〇構成と曲について

 MCを挟む形でこれを区切りとした5部構成。

 overture からの1曲目『ALL FOR ONE & ONE FOR ALL』(H.P.オールスターズ)。最初のパート。『始まり』であり『11』を象徴する歌。時勢もあるのかもしれませんが、小田さんの『祈り』でもあったように思います。ハロプロの未来を歌う歌が好きです。この歌も『さくらのしらべ』のこれから始まる未知の世界へと船出をしていくような高揚感でいっぱいになりながら聞いていました。ガラリと会場全体の空気を変えて、一気に幸せを行き渡らせて、異空間に客席をさらってくれる。と同時に、来てくれてありがとう!今日は一緒にたくさん楽しもうね!楽しませるからね!という声が聞こえてくるようでした。

 

 MC①明け、歌とダンスのパート。

2. お願い魅惑のターゲットメロン記念日
3. ONLY YOU(続・美勇伝
4. 地球が泣いている(モーニング娘。

 ホールでの公演ということもあり、遠くの人にも楽しんでもらえるようにパフォーマンスの大きさを変えないといけないと思った。そもそも自分は歌って踊れるのだろうかと思ったことからの挑戦の意味もある。(MC②より)ということで、小田さんがたくさん歌って踊って移動するブロックでした。なんというか、こういうMCを聞くにつけ、ちゃんと考えてもらえて幸せだよなと思います。こういうことを考えられることって、当り前じゃないんですよ。本当に。すごいことなんです。

 『お願い魅惑のターゲット』では客席に気を漲らせ、会場を掴みにかかり、時間軸、空間軸、空気軸を同じにして、同じ場所に立ってくれた。一緒に楽しむという形を作って見せてくれたことで、ファンも応えやすくなり、客席とステージが観念的に一体化したように感じました。ステージからの一方通行ではない感じ。この時の小田さんの目の色がすごく可愛くて色っぽかった。小田さんの目ってすごくドキーン!とさせられる瞬間があって、恋に落ちそうな危うさがあります。鳩尾に来る。

 『ONLY YOU』は客席一人一人に語り掛けていく感じ。誰も、誰一人も取りこぼさない。置いていかない。とにかく小田さんがめちゃくちゃカッコいい。めちゃくちゃイケメン。ファン一人一人への想いを歌詞にのせてくれたと思うのは自惚れかもしれませんが。でも、そう思わせてくれるのはとても嬉しいです。余談ですが、私は『続・11人いる!』での小田さんのフォースが大好きなんですよ。小田さんがイケメンで急に思い出したので書いておきます(笑)小田さんはすごく可愛かったりするけど、カッコイイもとても素敵なんです。

 『地球が泣いている』。見事に煽ってきたなという印象でした。2曲目、3曲目でぐいぐい引っ張り上げてきた客席をさらにもっと先へと、もっともっとと煽っていく。そして煽りながら感謝を伝える。想いが届くことを願っているようにも見えました。

 

 MC②明け、小田さん曰く『さくらのしらべ』王道のパート。

5. さみしい日(モーニング娘。
6. さくら満開モーニング娘。さくら組
7. サヨナラのLOVE SONG後藤真希

 このブロックがまた面白かったんですよ。このブロックって、何というか、少し小田さんの『自分』が出た部分なのかなと思いました。小田さんのすごくプライベートな、個人的な願いや祈り、想いといった何か伝えたいことがあって、それを伝えようとしているように感じました。でも、私個人が感じたことを書いてしまうと、それは書き過ぎになってしまうように思うので割愛します(笑)とにかく、この三曲の流れがとても興味深かった。パフォーマンスとして素敵だったのが『さくら満開』から『サヨナラのLOVE SONG』への移行。『さくら満開』のラストで空を見上げて、何かを受け取るように右手のひらを高く掲げる。そしてそのまま『サヨナラのLOVE SONG』へ。この前奏の時に、天高く掲げられた手のひらは、何かを掴み、握りしめられ、何か決意を持ったようにゆっくりとおろされていくんです。すごく印象的で象徴的。そして強烈でもありました。とても美しかった。小田さんは手の表情がとても美しいんですよね。形を作るのがとても上手で綺麗。時よ止まれと思うほど見惚れてしまいます。それと、『さくら満開』で満開の桜がおりてきた演出も素敵でした。

 ハロプロの子たちは基本的にファンのことが好きである様に感じられるので、それって本当にとても素敵な良いことだなと思います。『未来』『願い』『祈り』『感謝』。そんなものを感じたパートでした。

 

 MC③明け、スーパーアイドルパート。

8. BE HAPPY 恋のやじろべぇ(タンポポ
9.ドキドキベイビー(真野恵里菜

 やー、なんかもう、可愛い。これに尽きる(笑)みんなに元気になってほしい!みんなで幸せになろう!みたいな感じで、目をキラキラさせた小田さんがぴょんぴょんしててとにかく可愛かったです。可愛いって言うのはなんでこんなにこうウフフ☆ってなるんでしょうね。心の中にお花が満開になる。小田さんは二階も一階も会場の隅々までしっかり見てくれるから、会場一面がお花畑みたいになっていたと思います。

 

 昼公演のMC④のことを少し書いておきたいと思います。『ドキドキベイビー』が真野恵里菜さんの曲だったことに因んで、小田さんが研修生の時に真野さんに声をかけてもらってすごく嬉しかったという話を聞かせてくれました。そして、その時のことが嬉しくて、自分も研修生とちょっとしたことでもお話しようと思っている。真野さんが自分にくれた親切を自分が誰かにしたら、その子も後輩に親切にして、その子もまた別の子に親切にして、という親切の連鎖がきっと生まれると思う。だから人にされた親切は人に返すと思っている。そう話してくれました。ああ、小田さんは本当に『愛』とか『平和』とかを日常的に心から本気で願っているんだなと思いました。私もそうありたいと思います。

 

 最後は、小田さんが「明るい気持ちで、最後まで楽しい気持ちで帰ってほしいと願って、楽しむことに罪はないと思って歌う」「どんな状況でも前を向いていきましょう!」と言ってくれた『やる気!IT'S EASY』(後藤真希)。まさに先に進むために背中を押してくれるような歌でした。会場全体に振り撒かれるのは『愛』であり、伝えられるものは『感謝』、届けられるのは『祈り』、そのすべてが小田さんの『願い』として客席の人たちみんなに降り注ぐ。それをそれぞれがそれぞれにそれぞれの想いと共に受け止めたのではないかと思います。

 

 最初の曲も最後の曲も未来を歌う、踏み出していく歌でした。構造としては初めに戻る構造を成しているけれど、初めと終わりでその形は違っています。最初の「一緒の船出」から、「一緒の旅」を経て、最後は同じ船出でも「それぞれの船出(旅立ち)」という形を取っていたように思います。「一人ではない(一緒である)」という観念的な繋がりは保たれながら、物理的には切り離され、客席にいた人たちは再びそれぞれの現実へと踏み出していく。小田さんがくれた『愛』を勇気に変えて。小田さんが見ている、見せてくれる世界の中で、たくさんのことを感じながら、私たち自身が『物語』を生きていた。そんな風に思いました。

 

 

 『さくらのしらべ11』、とても楽しかったです。本当に楽しかったし、面白かった。こんな素敵なものを年に一度見せてもらえるなんて、それはファンは毎年必ず惚れ直させられるし、その度にどんどん好きになっちゃうよなと思います。また来年も観られたらいいなぁ。楽しみにしています!

 

 『さくらのしらべ』は小田さんの持っている核が様々な形の結晶となってきらきらと煌めきながら目の前に現れるものなのだと思います。

 

 最後になりますが、今更感もものすごいですが。
 小田さくらさん、23歳のお誕生日おめでとうございました!
 小田さんがいつも笑顔でありますように!幸せでありますように!☆